高速バスで行く、大阪の旅 ~第二章~
ふと気がつくと店員さんは心配そうに僕の顔を見ている。
やっぱりものすごいかわいい。
かわいい子を見て、急に苦しくなるなんて初めてだった。
でも、嘘でもなんでもなく、本当の出来事だ。
「兄ちゃん!大丈夫?」
僕は、店員さんの目すら見ることができずうつむきながら、「たこ焼き8個」と言った。
その女の店員は不思議そうな顔をしていたが大阪弁で「おおきに!」と言ってくれた。
彼女は注文をうけると、鉄板に生地を流し焼き始めた。
熱い鉄板の前でひたすらクルクルしている彼女のまなざしは真剣そのものだった。
僕は高速バスで遠路はるばる大阪にきたことや、たこやきの食べ歩きをすることなんかもうどうでもよくなっていた。
ただ、彼女を見ていたい・・・。
本当にそう思った。
出来上がった本場の大阪たこ焼きを初めて食べたのだが、正直味は覚えていない。
ただ熱かったっていう記憶しかない。
でも、その熱さが舌を通り越して、心の中まであっちあちになっていた。
続く